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さて、模型好きの人ならすでに先刻御承知であろうが、ポーランドのクラークフに日本軍艦のミニチュア模型を孜々として作っている奇特な人がいる。ヤヌス・スクルスキという人物で、作品はすべて1,000分の1というミニスケールで統一されているが、その精密さは文字どおり驚嘆に値するものである。ポーランドという遠隔の地にありながら、日本軍艦をここまで正確にリサーチし、次次に作品化している熱意には敬服のほかないが、異国にこのような日本軍艦マニアがいることは日本人として嬉しいことである。

 

わが国にもユニークなモデラーは少なくないが、ここでは紙を材料にして内外の客船模型を作っている富岡幸雄さんの作品に触れておこう。千葉県の四街道市在住の富岡さんは元陸上自衛隊の陸将補という経歴の持ち主であるが、退役後はもっぱらボール紙、ケント紙、アート紙などを材料に使った客船模型作りを趣味としており、すでに200隻近くを完成させている。縮尺は当初300分の1だったが、現在は400分の1に統一しており、写実と省略のバランスのとれた模型は見事なリアリティを備えている。材料の紙には時に菓子の空き箱やカレンダーの裏面などを使うこともあるというが、これまたひとつの至芸というべきであろう。
(文中、一部敬称略)

 

 

 

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